耳が原因のめまい(耳鳴りや難聴を伴わない場合)
2012/05/13更新
耳が原因のめまいのうち、耳鳴りや難聴を伴わない場合の対処法や治療法を解説します。
病名としては、良性発作性頭位めまい症や前庭神経炎がこれにあたります。
良性発作性頭位めまい症
耳が原因でめまいである、良性発作性頭位めまい症について紹介します。
症状
めまいのうちで最も多いのがこの「良性発作性頭位めまい症(BPPV)」です。
起き上がる、寝返り、上や下を向くなど頭の位置を変えた時に、瞬間的にぐるぐると目が回ります。
めまいは、数秒〜数十秒で、ひどいときは吐き気や嘔吐を伴うこともあります。
難聴や耳鳴りを伴うことは一般的にはなく、発作をくり返しながらだんだんと治っていくケースが多いめまいです。
原因
内耳には身体のバランスを司る三半規管と耳石器(じせきき)があります。
三半規管には、体の回転をリンパ液の流れなどで感知して、脳へ伝える機能があります。
耳石器には、小さな耳石が沢山乗っていて、体の傾きを脳に伝える機能があります。
良性発作性頭位めまい症は、この耳石が何らかの原因(加齢や外傷など)で耳石器から剥がれ、それが三半規管の中に入ったり、タンパク質などが粒子となり管の中に溜まって、リンパ液の流れが乱れるために起こると考えられています。
頭位治療
耳石やタンパク質などの粒子を三半規管の外に移動し、リンパ腺の流れを改善して、めまいを起こりにくくする治療です。
フレツェル眼鏡をかけた患者さんの目の動きによって浮遊する耳石やタンパク質などの粒子の位置を推測しながら、頭をゆっくりと動かし、 耳石などを管から排出します。
1回の治療で改善する方もいますが、平均2〜3回の治療で改善します。
薬物治療
症状を和らげるために、
などを服用します。
運動による改善
めまいが続いても、安静にするのではなく、日常生活の中で、積極的に体を動かしたり、ウォーキングやヨガなどの運動をすることも症状の改善につながります。
簡単に行える次の運動を紹介します。
- 片方の腕を前に伸ばし、手を握って親指だけを立てる。
- 視点を親指に合わせ、その状態から、顔をゆっくりと左右に20回くらい動かす。
- 親指を床と並行にして、視点を親指に合わせ、顔をゆっくりと上下に20回くらい動かす。
三半規管や脳を刺激して、めまいを起こしにくくします。首や肩のこりもほぐれます。1日に、1〜2セット行うとよいでしょう。
この運動の注意点
運動中にめまいが起こっても、転倒しないよう、椅子に座って行う。
高齢者は無理のない回数を。
運動中に激しいめまいが起こる場合は中止するが、軽いめまいであれば続ける。
その他、良性発作性頭位めまい症の詳細は=>良性発作性頭位めまい症
前庭神経炎
症状
突然、起きあがれないほどの激しい回転性のめまいが起こり、それが数日続くのは、前庭神経炎です。
前庭神経は、平衡感覚に関係する情報を脳に伝える働きがありますが、この神経が傷ついてめまいが起こります。
患者さんは30〜60歳代に多く、じっとしていてもめまいが続くのが特徴です。
聴覚に特に異常は起こらず、強い吐き気を伴うことがあります。
激しい嘔吐とめまいで、重病ではないかと心配になる方が多いですが、治る病気です。
原因
風邪の後などに発症しやすいことからウイルス性ではないかと考えられています。
治療
初期はなるべく安静を保ってください。
次の薬を投与することがあります。
症状がひどい時は入院する場合もあります。
めまいが治まったら、リハビリを開始します。
「目を閉じて立つ」「その場で足踏みをする」などの平衡機能を鍛える運動を行います。
その他、前庭神経炎の詳細は=>前庭神経炎
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